霧島翔子は悪の組織の雑魚になりたい
「……」霧島翔子は空き教室で催眠暗示をかけられていた。性格はともかく、見た目は学園全体でも上位の美人。そんな翔子は催眠術を悪用する生徒に狙われ、一人の所を催眠状態にされて誰もいない部屋に連れてこられてしまったのだ。本波悟志という名のその生徒は、翔子の記憶を操作して幼い頃から悪の組織に憧れていたという強烈な記憶を植え付けると共に、悪の組織の女ザコになることが何にも勝る夢だったことにしてしまう。その過程で愛する雄二への想いは消され、関係性の薄い知り合い程度に記憶も改竄されたことで彼女のベクトルは全て悪の女ザコを目指す方向になってしまう。これらの暗示を活かすため、悟志は自分のことを悪の組織の首領だと思い込ませる。そこまでいけば、あとは解放して待つだけ。勝手に翔子からアクションを起こしてくれるからだ。次の日にさっそく結果が現れた。今まで一度も接点のない悟志に翔子が自分から声をかけてきたのだ。「ちょっと屋上に来てくれる?」「は、はいっ」屋上に来るなり、翔子はグッと顔を近づけて詰め寄る。「あなたは悪の組織の首領ね?」「えっ」「隠さなくていい。わかってるから」「そ、そうなんだ……知ってたんだ……」悟志は目を逸らして白状した。少し震えて、怯えているようにも見えるが、それは単に笑いをこらえてそうなっているだけだった。それに対して翔子は正体を突き止めたと、勝ち誇ったような顔をしている。「やっぱり思った通りだったわ」「悪の組織の首領……そんなあなたにお願いがあるの」「お、お願い?」「そう。単刀直入に言うわ。私を……しもべにして欲しいの」自分も悪の組織に入りたい。首領の配下となって、有象無象の雑魚になりたい。そう翔子は頭を下げて頼んだ。口調こそタメ口だが、それは懇願と言っていい必死さすら感じるお願いだった。「ふーん?w」「そうなんだ。ならこの首輪を着けろ」「そして新たに俺の配下、’ザコおまんこ’として命令に絶対服従すると誓え」「そうしたら組織に入れてやるよ」「本当ですか!?もちろん付けます!」「’ザコおまんこ’として絶対服従すると誓いますっ」「ですから、悪の組織に入れてくださいっ」「ププ!交渉成立だなアハハ!」「ほれ。じゃあこれ着けろ」足元に投げ捨てられた首輪を、翔子は飛びつくようにして拾い、無我夢中で自分の首に巻いた。「私、霧島翔子は今この時より本波悟志様に絶対服従する’ザコおまんこ’として忠誠を誓います」「どうかこの身も心も、悪の組織に属する有象無象の一人として気軽にお使いください」「よーしいいだろう。フフ、じゃあまずはセックスするぞ」「……はいザコおまんこ、御主人様とセックスさせていただきます」―――――-それから3か月後、霧島翔子ことザコおまんこは文月学園を退学していた。私服で街に繰り出し、スタンガンを使ってカツアゲをする日々。そうやって悪の組織の一員として首領に金を貢ぎ、それ以外の時間は性的奉仕。犯罪と性行為。それがザコおまんこの生活の大半を占めるのだ。「今日のアガリは10万。もうすぐ、目標の1000万になる……」ザコおまんこは必死に上納金を稼いでいるが、昇格はしたくないのでいくつかの口座を経由して、匿名で首領にお金が届くようにしていた。それが暗示で植え付けられた、マネーロンダリングだとも思わずに。「そこのあなた!」「な、なに?」「あなたね!最近スタンガン強盗をしているのは!」「逮捕します!」「うっ……」尾行していた警察に逮捕されてしまい、両手に手錠をはめられてしまう。(ま、いっか)だが彼女が気にすることはなかった。(逮捕されるなんて素敵これも悪の組織のザコならではねっ)捕まったのに、嬉しそうにしている表情を見て警察官は戸惑った。それは検察に送られてからも同じで、検察官も喜ぶ翔子に戸惑いながら起訴まで進んだ。裁判では一切否認することなく罪を認め、懲役刑で収監されるのだった。そして収監された刑務所内で妊娠していることが発覚するのだった。そんな一般的には最低の末路となった霧島翔子ことザコおまんこは、悪の一員として相応しい末路だと浮かれて懲役を全うするのだった……。
[紹介元] 催眠!ピカッとハウス 霧島翔子は悪の組織の雑魚になりたい